2003.6.21 「 中アの山岳渓流」

釣行データ
日時 2003年6月21日(土) 9:30〜17:30
釣り場 中央アルプス
天候・気温 晴れ、気温未計測
水温・水質 未計測
タックル Rod    WADA Bamboo 7'0" #3
Real   TUEFFONE
Line   3M ULTRA3 BambooLine DT3F
Reader  VARIVAS Airs 5X-9ft
Tippet  VARIVAS 6X-8X
釣果 イワナ 7尾
フライ パラシュート#13-15、アント#18、ソラックスダン#16

梅雨の中休みとなる久しぶりの好天。私は中央アルプスの渓を登る山道を黙々と登っていた。谷の空気は冷たく普通ならば涼しいと感じるはずだが、首筋を伝う汗は途切れることはなかった。同行I氏、T氏は私の少し後を登っている。ここ数ヶ月減量と基礎体力の向上も兼ねて毎日1時間程走ったり歩いたりしていたので、体力には多少の自信はあったのだが、この山道の斜度は想像以上にきつかった。途中何度か小休止を取りながら登り、I氏から聞かされていた入渓ポイントに着いた時には、頭がボーっとして思考力はかなり低下していた。もう釣りはどうでもよくなり、ここに来たという達成感と充実感で満たされていた。

川に降りる為には、ここから谷の斜面を下ることになる。その前に大休止を取っていると上から餌師3人組が降りてきた。そして、私達がこれから入る予定としていた入渓点からそそくさと降りていってしまう。慌てたI氏が彼らに訪ねると、上を釣ったのでここから下に釣り下るという。ひとまず安心はしたが、結局、私達が釣り登る箇所は既に先行された訳だ。せっかく苦労してここまで来たのに…。
厳しい事には変わりないが、先行者が餌師ならばフライで攻めればまた違った反応を示すであろう。状況をポジティブに受け止めるしかなかった。

川に降り立ち準備をする。7フィートのバンブーロッドにパラシュートフライ。木も被っているのであまり長いティペットリーダーは使えない。ストーキングとキャスティングの精度が要求された。I氏とT氏は凄腕のフライマンなので、意識的に私を先行させる形で釣り上がった。自分としては、二人の足手まといにだけはならないようにと背後に少しプレッシャーも感じていた。

水は少な目でドライに適した流れだった。昨年I氏が釣った時は浅い流れにもイワナが居てフライを疑わず食ったという。浅い流れだからといって気を抜けない。

最初のポイントは小さな淵だった。水は蒼く川底までがハッキリと見えた。久しぶりに味わう山岳渓流の釣りに少し違和感というか戸惑いもあったが、イワナは寛容に迎え入れてくれた。落ち込みから白泡の切れ目にフライを置くと、バシャっと水飛沫があがりロッドに心地よい振動が伝わる。1尾目は22〜3cmのイワナ。最初の1尾目としては悪くない。バンブーロッドの感触も心地よい。先行者の影響も心配したが、思ったよりは反応も悪くない。これならこの先も十分期待できそうだ。

その先のポイントに移動し数投目、うまく筋に入って期待通りの場所でイワナが出た。しかし、ちょっとアワセが強すぎたのか、痛恨のアワセ切れ。6Xを切ってしまうとは…。腕の悪さが露呈してしまった。もっとゆっくり合わせても良かったか。今シーズンはあまり釣りをしていないので、どうも勝手が違うようだ。

同行I氏、T氏は私の後ろでもちゃんとキャッチしている。流石だ。I氏もT氏も遡行が早そうなので、待たせてはいけないと少し焦り気味に遡行する。とりあえずイワナは飽きない程度に反応はしてくれるものの、出ても乗らない事が多く、キャッチ出来ないという苦戦が続く。最初に釣った1尾の余裕は消え去り、気持ちばかりが先走っている感じだった。そうなると、不用意にポイントに近づきすぎて良型魚に走られたりと悪循環が巡った。

イワナは石のエグレや白泡まわりに隠れているようだった。背後の木をかわし少し遠めのアプローチで石が覆い被さっている奥のポイントに打ち込んでみた。石に当りなかなか奥に入らない。数投目、スポっと吸い込まれるように石影の置くにフライが入った。すかさず水飛沫があがった。ロッドティップがギュンと入るが大型の魚信ではない感じ。苦労して入れてもこんなものなの…。キャッチしたのは、22cmほどのイワナ。嬉しいような複雑な心境。

気が付くともう2時間も休憩せず釣り登っていた。時間は正午に近かった。ザックに入っている水を飲み、少し休憩。下流にT氏の帽子が見えた。その近くにI氏の姿も見える。少しほっとした。目の前にガレ場のような落差のある流れが見える。遠めで見たとき堰堤かと思ったほどだ。あの直前くらいまでを午前中の釣りにしようと決め、残り10分ほどを集中的に釣ってみた。

浅い流れも丁寧にという言葉を思い出し、静かに登って行く。石影から見た流れのヒラキに大型魚がユラユラと泳いでいるのを発見した。心臓は高鳴った。水面へのインパクトを抑える為にティペットも8Xとし18番のアントを結び直した。そして、静かにポイントめがけフライを落す。
フライはベストな位置に落ちたのだが、リーダーがイワナの真上に落ちてしまった。フラットに近い流れだったので水面に波紋が立つ。イワナはフライに近づきはしたものの警戒してかフライをしっかり食わなかったようで、激しい水飛沫が上がったがフッキングしていなかった。痛恨のキャストミスだった。隠れた石陰も分っていたのでそこを何度も流すが、ついに2度目のチャンスを与えてはくれなかった。

ちょうど正午になっていた。下流のT氏、I氏の所まで下った。T氏もI氏も共に4尾のイワナをキャッチしていた。自分は先行していながら2尾どまり。情けない。腕の差は歴然だった。
まあとにかく、昼飯にしよう。T氏から頂いた凍らせたビールがちょうど飲み頃になっていた。乾杯してキューッと一杯。渇いた喉にビールが染込んでいく感じだ。心地よい沢音の中の至福のひと時を過ごした。

午後は、目前のガレ場を越えてその先を詰める予定。I氏の話ではそこから大物が出たので注意して遡行するようにとの事。この渓に来たのは大物イワナとの出会いを期待しての事だけに目的達成の為にも慎重に遡行しなければ。

大石を乗り越えた先にいかにもイワナの着きそうな流木が流れに横たわっていた。その影になっている部分を流すようにフライを落す。フライが流木の陰に入り一瞬見えなくなったその時、バシャっと波紋が立った。ラインをたぐり寄せてくる。ん!?、イワナの背が黒い事に気がついた。もしかしてヤマトでは?。この渓では中央アルプスのヤマトイワナが残っている可能性がある。期待はふくらむ。慎重にネットイン。背を見るとニッコウイワナの特徴の白点はない!、ヤマトか?。興奮していた。しかし、よく見ると体側にヤマトイワナらしくない白点がある。側面だけみるとニッコウイワナのようだ。これは、ヤマトとニッコウの混じりであろう。I氏に見てもらったがやはり、混じりのようだった。風船がしぼむように気持ちも萎えていった。混じりの特徴は、背鰭から尾鰭にかけて白点が点在するというケースが多いだけに、このイワナは珍しいケースではある。記録の為、念入りにデジカメに収め水に戻した。

その後も私は黙々と釣り登ったが反応か希薄であった。後方のI氏、T氏は数尾掛けたようだが、大型の姿はないらしい。それぞれのポイントで粘れば出てくるのだが、1発でフライを追うということがない。やはり、水量の少ない流れで先行者ありは少なからず影響が残るということだろうか。

しばらく釣り登って行くと堰堤が見えてきた。堰堤下のプールには大物が居るという。期待は高まる。遡行も早足で登って行ってみると目の前には枯れた水溜りしかなかった。愕然とする。やはり、GW前の大水で相当の砂が溜まってしまったらしい。

この堰堤で取水されているので、その上流の水量ははるかに多い。数日前の雨の影響もあるのだろう。平水時よりも10cmほど水位は高い。ドライフライを流す場所が限られてしまう。3人で少し釣っては見るが反応がなく、このまま上流に登るのもリスクが大きいので、下山して下流の流れを釣って見ることにした。

下流の流れに立つ。夕方に近くなってきているので谷は少し薄く暗く感じる。なにか釣れそうな雰囲気を濃厚に感じる。目の前の浅い流れでもイワナが飛び出してきそうだった。実際、T氏がイワナの反応を早々に確認した。私もT氏に続けとばかりに少し先の流れに立つ。数投目、イワナが飛び出す。やはり活性は夕方に向けて上がっているようだ。型は20cm弱と大きくないが、各所でイワナをキャッチ。上流での不調を取り替えずべく釣り登る。

短い区間を3人で釣ったので1時間ほどで堰堤に出くわす。時間は午後5時。I氏が既に堰堤を攻めイワナをキャッチしている。T氏も横に並びすかさず数尾のイワナをキャッチ。私も少し遅れて堰堤下に入る。反応はあるがフッキングさせられない状態。I氏、T氏とも順調にヒットを続ける。横で私は燻っていた。粘って流していた沈み石の脇でフライが消えた。グンと合わせを入れる。根掛かったようで動かない。と思った途端にグググっと生命反応。もしかしてデカイかも。8Xだから慎重に寄せてくる。あれ?、スレ掛かりだ。22cmくらいのイワナ。スレとは情けない。これが今日のラストの1尾。結局ドラマティックな展開は起きず下山することになった。

車まで戻ると1日の疲れがドッと寄せてくる。まだ、近くの流れでイブニングをやろうと思えば出来る時間であるが、もうそんな気力もなく、T氏、I氏と雑談をしながら次回の釣行の約束を交わした。
久々に1日かけて釣りをしたのだが、山岳渓流の流れはそこに居るだけで充実感を感させるものだった。そこにこそ自分のアイデンティティを感じる何かがあるのだという事も思い出させてくれた。気が付けばもうじき7月。渓流シーズンもあと3ヶ月となる。何か遣り残した事が山のようにあったようで、私は急に焦りを感じてしまった…。

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(c) bluedun 1999-2004


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