2002.7.3「パラダイス」

今回は風景写真はありません。

釣行データ
日時 2002年7月3日(水) 18:30〜19:30
釣り場 南アルプスの渓
天候 曇り/雨
気温 未計測
水温 未計測
タックル Rod    FAIS LB iwai's3 8'5"#3
Real   MARRYAT MR7A
Line   3M Ultra3 Yamame Line DT3F
Reader  VARIVAS Airs 5X-12ft
Tippet  VARIVAS 6X-4ft
釣果 イワナ 14尾(26cm〜21cm)
フライ #15/#11 エルクカディス


曇空だが時折山陰から夕日が差し込んでくる。私は、時を惜しむかのように黙々と山道を歩いていた。首筋にじんわりと汗が伝う。遥か山頂には黒い雲が覆っているようだ。この渓はヤマト探釣において避けては通れないと思っていた。私はここ3年来、この渓が気になっていたが、地元の釣り師等に聞くと「あそこはもう終わった」と芳しい言葉は帰ってこなかった。そんな事もあってか足は向かないままだった。しかし、今その渓に向かって少しづつ近づいている。正直言ってかなりリスクの大きい釣りになる。夕方の短い時間の大部分を徒歩に費やし、釣りは出来ても正味1時間といった処。釣れなかったら真っ暗な山道を時間をかけてトボトボと戻るハメになる。しかし、迷いは無かった。

地図を開いた。たぶんこの辺りだろうか。あらかじめマークしておいたポイント付近と思われた。時間は午後6時半。少し暗くなり始めていた。遠くの雷鳴が谷に響く。そして、小さな雨粒がポツポツと石を濡らす。レインウェアを取り出し羽織る。気持ちもかなり暗くなっていた。30分釣ってみて駄目なら上がろう。そう決めて竿を出す。

水量は少なく瀬と小さな落ち込みが連続する流れ。6Xの先にエルクカディスを結ぶ。水面にちょこっと頭を出した沈み石に流れが分流する右手が良さそうだ。先ずはそこへ第1投。1mほどドリフトしただろうか。突然水飛沫があがった。期待もしていなかっただけに少し慌てた。ツツっと上流に走った。良型っぽいぞ。浅い瀬の中で翻弄されていたのは私だった。石の下に潜られないようにロッドでなんとかコントロールしていた。近くに寄ってきても抵抗は止まなかった。体側に鮮やかなオレンジ色の朱点が見えた。ヤマトだ!。ピリピリと緊張感で身が引き締まる。そして慎重にイワナをネットに収めた。最後の最後まで素晴らしいファイトだった。ネットに横たわるのは25cmくらいの完全なヤマトイワナだ。発達した尾鰭のデカさを見ると先ほどまでのファイトも至極当たり前の様に思えてくる。

ヤマトイワナ 25cm 本日第1投目、フライ:エルクヘアカディス

この1尾で完全にスイッチが入った。フライを洗ってドライシェイクでリフレッシュ。そしてその先の瀬尻にフライを投入。バシャ。先ほどのよりは強くはないが、元気いっぱいに瀬を走る。7寸くらいだった。このイワナは背鰭から尾鰭にかけて白点があった。YN型だ。混じりもいるのか。
直ぐに釣りに復帰。瀬のヒラキでも何の疑いもなくエルクカディスを咥えこんだ。このイワナは22cmくらい。これは完全にヤマトだった。この魚影の濃さ、完全に大当たりだ。

YN型(混じりヤマト) 背中の白点に注目 アベレージサイズのヤマトイワナ

しばらく浅い瀬が続く。しかし、どのポイントでも魚が着いていて、狙ったポイントの9割近くで反応がある。大きなのをバラしてもあまり気にならなかった。またそのうち釣れるだろうそんな様にさえ思えてくる。最初の1尾を越えるイワナはキャッチしていないが、既に5尾。出てくるイワナの数はもっと多い。時計を見たらまだ15分しか経っていない。3分に1尾ペースでキャッチしている事になる。2尾目に釣ったYN型以外は全て文句のつけようのないヤマトイワナばかり。興奮してティペットを結ぶ手が震えていた。ここはヤマトの渓として疑う余地はない。

雨は一時的なもので今は止んでいた。谷から見える空は夕焼け色にうっすらと染まっている。フタスジが飛んでいた。その他の水生昆虫も飛んでいる感じはあるが、瀬のヒラキとかではライズはなかった。しかし、フライを打ち込んで見ると、どのヒラキにもイワナが着いていて、水飛沫が上がる。少しサイズアップしてきた。8寸前後のヤマトが釣れている。いずれも強く申し分のないファイトを堪能させてくれた。それにも増して美しい魚体が何物にも変え難い満足度を与えてくれる。

後半は8寸くらいがアベレージだった

午後7時を少し回っていた。既に10尾のイワナをキャッチ。ペースは落ちていない。安定した魚影が保たれているという事だ。30分で上がろうと思っていたがこの状況では上がれるはずがない。さすがに偏光グラスが役に立たなくなってくると、こんな谷に一人でいる事が少し心細くなってくる。しかし、釣欲はそれをも上わまるようだ。黙々と釣り登っていた。

フライを11番のエルクカディスに交換し大物狙いに切り替える。ちょっとでか過ぎたかな? 反応が鈍りだすが、十分数は釣ったのでサイズが欲しくなっていた。アベレージサイズが着いている場所は概ねわかったので、狙うは落ち込みから流れ出す先のヒラキ。水深が少しでもある方が良いだろう。瀬を叩きながらそんなポイントを狙っていた。白泡の切れ目からユラユラと流れるフライを凝視。そろそろ出るな。バシャ。
ヨシ!、ギュンと竿がしなる。浅い瀬を凄い勢いで走る。ズシンとする重さは感じないので、尺には及ばないだろうが、スピードはアマゴ並のファイトだ。強い。石の下に潜られたら厄介なので、なんとかそれだけは阻止するように誘導する。なんとかキャッチ。もっと大きいかと思ったが9寸には及ばない。しかし、凄いファイトだ。

マダラ模様も綺麗に出ている、朱点の色も濃い パーフェクト・ヤマト

尺とまではいかないにしても9寸越えは欲しかったので、狙って行くが、私の狙い処が悪いのか25cmくらいが続いた。いづれも強烈なファイトでここのヤマトのパワーは同サイズのアマゴ並だ。

午後7時20分。瀬のヒラキでライズが始まる。フライが完全に合っていないようで無視してフライの横でライズ。しかし、ハッチマッチ系のフライを結ぶ気にもなれなかった。やる気のある奴だけ釣れればいい。普段なら確実にライズにトラップされるのだが、今日は更に上に歩を進めていた。次のヒラキでもライズがあった。ドライシェイクで浮力をアップし、ライズポイントで投入。
ボコっと出た。7寸くらいのかと思ったら、結構強い力でロッドを絞り込む。難なくキャッチしたがヤマトで25cmくらいはあった。午後7時半、そろそろ上がり時かな。リールを巻き上げた。

本日のラスト1尾 これも朱点の美しいヤマトイワナ ・・・ 満足


ヘッドランプを取り出し、山道を歩く。トボトボではなく意気揚揚だった。帰りは下りという事もあって行きほどは時間もかからず戻る事が出来たが、谷は真っ暗でヘッドランプの小さな明かりが実に頼もしく感じられた。
大型魚こそ出なかったが、皆粒ぞろいの良型が多かった。結局1時間で14尾をキャッチ。しかも1尾のYN型を除き全てがパーフェクトなヤマトイワナ。密度は私の知る中でも1番の濃さを持つこの渓は、まさにヤマトのパラダイスと言っても過言ではない。しかし、YN型が居るという事は、N型(ニッコウイワナ)もいるという事だ。今はその密度が圧倒的にY型(ヤマトイワナ)に支配されているが、時が経つにつれこの渓も勢力図が塗り替えられてしまうのではないか、一抹の不安が頭を過ぎった。
まあ、いつもネガティブが事ばかり考えても仕方ない。今日は、素直に爆釣を喜ぶ事にしよう。

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