2002.5.26「ヤマトの渓を求めて」


初入渓の南アのある沢 小規模な淵が多くイワナの棲家となっていた

釣行データ
日時 2002年5月26日(日) 8:30〜16:00
釣り場 南アルプス 某川
天候 晴れ / 雨(断続的に繰り返す)
気温 未計測
水温 未計測
タックル Rod    Tenryu 6'6"#3
Real   HARDY Marquis #4
Line   3M Ultra3 Yamame Line DT3F
Reader  VARIVAS Airs 5X-9ft(バット1ft詰める)
Tippet  VARIVAS 7X、8X
釣果 イワナ 23尾(25〜18cm)
フライ #13 パラシュート、#18 アント、#11 ブラックハンピー


ザックを降ろすと汗ばんだ背中に谷を抜ける風が冷たく感じた。しばらくすると山の陰から少し日が射し始め、冷えた谷の空気を少しづつ暖めてゆく。ここは南アルプスのある沢。知り合い方から「あそこヤマトが釣れるよ」という話を聞き、興味をもってこの沢に入ってみた。勾配のある山道は結構しんどかったが、目的とした2つの沢の出会いまでは難所もなく辿り着く事が出来た。ザックから地図を取り出す。昨夜、地図を見て思い描いた渓と実際に訪れてみるとでは結構ギャップがあるもので、もう一度白紙に戻してプランを思案する。まだ午前8時前なので、ドライで叩くにはもう少し待ったほうが良いかもしれない。湯を沸かしコーヒーを飲んでしばしゆったりとした時を過ごした。

途中の登りでも実に良い渓相のポイントを幾つも見てきたので、ここから下流も気になる。そして、上流の2つの沢も気になる。先ずは様子見で付近の流れを見てみることにする。木が被っていて釣り難いかと思い、6ft半のショートロッドを持ってきたが、意外に開けているので8ft程度のロッドでも十分だったかも知れない。この付近は取水されているため流れが細くなっていた。しかし、水通しも良いし淵も多い。イワナの隠れ家はいっぱいある。ただ、透明度の高い水とゆるい流れなので、静かなアプローチは心がけないといけない。フライはショートリーダーの先に18番のアントパラシュートを結ぶ。

釣り始めて10分程したとき、本日最初のアタックがあった。小さな魚でしかも素早い反応。ちょっとナーバスな出方だった。出た瞬間に魚体のオレンジ色が見えたのでヤマトイワナっぽい感じだ。期待も膨らむ。そして、ファーストヒットは淵の岩陰にしばらくフライを置いていた時。すーっと浮き上がってきて素早くアントを咥えた。それほど大きくはなさそうだが、どんなイワナが釣れるのかと期待してラインを手繰る手も少し焦り気味だった。ネットを使うまでもないが慎重にキャッチ。イワナを見ると唖然とした。背鰭から尾びれにかけて背中に白点が存在する。専門の先生方が言うところのYN型のイワナで、ヤマトとニッコウの中間固体。正直ショックだった。ここの沢もニッコウイワナが入っていたのか…。(イワナの分類についてはページ下の資料を参照
下流の放流されたニッコウ系イワナがここまで登ってくるには落差のある堰堤があり不可能だと思える。つまりはニッコウ系イワナの放流がこの付近で過去に成された形跡を残すということになる。

1尾だけでは決め付けられないが、期待して入った渓だけにかなり落胆の色は隠せず、少しアプローチも雑になってしまう。既に何尾ものイワナに走られている。これはイカンとザックを降ろし暫し休憩。気温も上がりセミの鳴き声が渓に響いている。今、新緑に包まれた渓を独り占めしているという贅沢な現実に気が付くと、YN型とかY型とかそんな事はどうでも良いじゃないか、という気にもなってくる。気分転換も良かったのかその後は調子良く、1淵1尾とまではいかないが、飽きない程度にイワナをキャッチ。イワナ好みの淵が連続するので気が抜けない。時折25cmくらいのも出てくる。そしてもっと大型のイワナもスーっと白泡の脇から浮き上がってきたりした(この大型はバラしてしまう)。キャッチしたどのイワナも尾鰭が尖り美しい魚体だった。しかし、背にわずかな白点の形跡を残す。まあ、人によってはこれをヤマトイワナと呼ぶかもしれないが、本物を知っているだけに余計残念に思えてならない。特にある淵で釣れたイワナは、完全にニッコウ系イワナとの交配種ではと思える魚体で、背中は頭部付近まで白点があり、ヤマトイワナの特徴でもある体側の朱色の斑点もその輪郭がぼやけ色も薄くなっている。もうヤマトイワナとは呼べない魚体だった。やはり、ニッコウ系イワナが入った事は間違いないようだ。

いい岩魚なのだが、若干尾鰭周辺に白い斑点が見える。 YN型か?

釣り始めから3時間以上経っていた。大型は出ないがキャッチしたイワナは16尾とまずまず。今日はバラシが多かった。特に大型魚を掛けてから外れるケースが多かった。どうもこのショートロッドとは相性が悪い。と、自分の腕を棚に上げ道具のせいにしている。まあ、釣り味はすこぶる良く8寸くらいのイワナでも尺級かと思える感じでファイトは実に楽しいのだが…。

一旦、2本の沢の合流点に戻った。正午にはまだ時間があるが、腹も減ったので昼食とする。午前中あれほど良かった天気だが、山頂を黒い雲が覆い始めていた。これは雨が降るかもしれない。気圧計もそれを裏付けている。これから上流の沢にヤマトイワナを求め入とうとする矢先である。上流の渓は険しい感じ。天気だけでも晴れていれば多少の困難も乗り切れそうだが、雨となると気持ちも萎えかけてしまう。雨の降る前に1本の沢に入ってみようと釣り登ることに。正午という事で釣れるか心配したが、早速イワナの反応を得て安心する。キャッチ出来なかったが、どうもヤマトっぽい。これは期待できるかも知れない。沢への入り口は案外穏やかな流れであったが、徐々に険しくなり始め、しまいには倒木がゴロゴロと横たわっていた。凄く荒れた渓に思える。釣りの方もフライやティペットが倒木に引っかかり釣り難くてしようがない。たまにイワナは飛び出してはくるが、フッキングが出来ない。ティペットやリーダーを長く出来ないので、直ぐにドラックが掛かってしまうのが原因か。倒木ゴロゴロは正直嫌気がさしもう1本の沢に期待を託す。

この沢が本沢になる。水量も多い。そしてなにより流速があるのか白泡がガンガン立っている。流芯の流れは無視しすることにして、流れの脇を重点的に攻めた。13番のパラシュートがユラユラと漂う。しばらく見ているとそれが一気に消えた。ヨシっとアワセを入れる。しっかりしたフッキングで先ずは安心。ググッと潜り込む。淵の中に入られないようにショートロッドを思いっきり曲げて魚をコントロール。ヨシ寄ってきた。あれ?ネットが無い。先程入った倒木ゴロゴロの沢に置いてきてしまったか。まあ、ネットな無ければ取れないサイズではなかったので、寄せてきてハンドキャッチ。キャッチしたのは、8寸程だか完璧なヤマトイワナだった。背には白い斑点は無い。ヨシ!っと一人でガッツポーズ。実に嬉しい1尾。が、ネットも気になるので、素直に喜べない。写真をささっと撮りリリース。釣り登ってきた行程を逆トレース。幸いな事に倒木ゴロゴロの沢に入りかけの所でネット発見。木に引っかかっていた。いや〜良かった良かった。

背に白い斑点がない ヤマトイワナ(Y型)の典型

これでヤマトイワナ探索に専念出来る。本沢の遡行を続行する。川が90度近く曲がった先には険しい渓相があった。淵、淵、淵、と段々に続く渓は、いかにもイワナの渓であるが、谷も狭くなってきているのが気にかかる。それでも自分の行ける所まで入ってみようと、遡行を続行。各淵は白泡ガンガンで、なかなかドライで流せるポイントがなかった。それでも白泡の巻き返しにフライを置くと暫くしてイワナが飛び出してきた。強い流れに入られ苦戦。挙句に下流に下られて、足場の悪い岩場を下る羽目に。なんとかキャッチしたのは尾鰭のでかいナイスな1尾。サイズは8寸くらいだが、天然イワナのパワーは計り知れないものがある。そして、このイワナもY型の完璧なヤマトイワナだった。

ヤマトイワナ 大きな尾鰭 良い引きしました(^^)

先程からポツポツと小さな雨粒が降っていたが、突然の雷鳴とともに一気に土砂降りに。慌ててザックからレインウェアを取り出そうとするが無い。どこかに置き忘れてきたのか?戻って探す訳にもゆかず仕方なく大きなブナの木の下に入り雨宿りをする。谷を吹く風は冷たく濡れたシャツから一気に体温を奪ってゆく。木の枝からポツポツと雨の雫が落ちてくる。明るかった谷が暗くなっていた。こんな状況になると山の中に一人という事が実に心細く感じられ弱気になってしまう。毎回、ヤマトイワナを探釣していると、これから本格的に沢に入ってゆこうとするタイミングで、何故か雨に見舞われてしまう。なにか入渓を拒まれているようでとても嫌なジンクスだ。暫くの雨宿りで雨が弱まりだした。もうちょっと先を詰めるか考えたが、まだ上空を覆う黒い雲を見ると完全に弱気モードになってしまい、この沢への遡行は今回は諦めることに決めた。

戻る途中、昼食を取った場所にレインウェアが置き忘れてあった。ネットの件といい、レインウェアの件といいボケている自分が口惜しい。寒かったので濡れたシャツを脱ぎ、レインウェアを防寒着代わりにした。戻って本沢の先をという気はもう完全になくなっていた。2尾のヤマトイワナが釣れた事もあって今回の探釣の目的は概ね達成されたであろう。

下流にも気になるポイントはあったので、ただ下山する事無く、下りながらポイントポイントで竿を出してゆく事にした。先程までの黒い雲はどこかに消え去り、上空には青い空と日差しが谷を照らしている。入った区間は少し木の枝が覆いショートロッド大活躍だった。腰を屈めて遡行する。周囲の木の枝を交わしながらのキャストはストレスが溜まるが、ポイントにスパッと入りイワナがガバっと飛び出せはそんなストレスも吹き飛んでしまう。午前中は岩陰に隠れていた岩魚も雨が降り警戒心が緩んだか、ヒラキに出ていた。数は出なかったがこの区間は完全なヤマトイワナが3尾出た。

山道を歩いているとまた雷鳴とともに土砂降りになった。幸い近くに退避所があり、そこで雨宿りをすることに。ふと見ると退避所の柱にセミがとまっていた。近くでシャッターを切っても逃げなかった。セミも雨宿りな様子らしい。雨も止みまた山道を下りつつ竿を出す。雨で気温が下がったのか反応は乏しかったが、それでも飽きない程度にイワナは釣れていた。そしてまた、しばらくするとまた土砂降りの雨が降り出した。さすがにこの繰り返しでは嫌気もさしてくる。まだ午後4時ではあるがイブニングをやらず下山とした。

今日の釣果は23尾のイワナだった。そのうち、私が見て文句のつけようの無い完全なヤマトイワナは5尾。微妙に白い斑点が入っているかも?と思えるのが7尾(薄い白点が尾鰭付近に残るヤマトイワナもいるという説もあるので、これもヤマトと言えるかも知れない)。そして典型的なYN型が9尾。N型らしいのが2尾という結果。(これは私の主観的な判断によるもの)

この沢は、半数近くがYN型やN型であったという事で、今後も楽観視出来ない状況。魚影の方は、よく釣れたので薄いとは思わないが、釣り人があまり入らないので、この魚影が保たれているに過ぎないのではと思えた。今回の探釣でヤマトイワナが釣れたからと言って、安易に喜べない状況である。この沢の雰囲気は悪くなく釣りは単純に考えると実に楽しかった。また足を運んでみたいと思っている。


<参考資料:ヤマトイワナの背部斑点の比較によるタイプ分け>


Y型 在来魚(ヤマトイワナ型)

背中線上に斑点がない

YN型 中間型
背鰭基部後方のみ背中線上に斑点がある

N型 放流魚(ニッコウイワナ型)
背鰭基部の前方まで背中線上に斑点がある


「長野県産のイワナの斑点の変移」(1998 山本聡 他)





StreamNoteへ戻るホームページへ戻る

(c) bluedun 1999-2004


[PR]生年月日で2010年を占う:初回無料!スピリチュアル運命鑑定