
2001.9.8「ヤマトイワナとの再会」

南アルプス、ヤマトイワナを育む渓。今年も訪れる事が出来た。
| 釣行データ | |
| 日時 | 2001年9月8日(土) 16:00〜18:10 |
| 釣り場 | 南アルプス 某川の支流の沢 |
| 天候 | 晴れ |
| 気温 | 未計測 |
| 水温 | 未計測 |
| タックル | RigthStaff 8'4" #2 + Koh-I-Noor #0 + DT2F + VARIVAS 5X-12ft |
| ハッチ | とくになし |
| 釣果 | イワナ 14尾(26cm、23cm〜17cm位) |
| フライ | #16 アント |
夕暮れがあと数時間後に迫る南アルプスの渓、そのある沢の出会いに私は立っていた。数キロの登りを終えた汗ばんだ肌に谷を抜ける風が少し肌寒かった。風邪のひき始めで少し熱を感じた体には、かなり堪えた登りだった。呼吸も落ち着き、汗も徐々にひき始めて周囲の景色をじっくり見る事が出来るようになった。沢の雰囲気は1年前と変わっていなかった。少しホッとした。そして、無理をしてでもこの場所に来た事が本当に良かったと感じていた。 午前中は、南信州FCの関係で太田切川C&R区間での河川清掃と成魚放流という行事に参加していた。昼食も兼ねた懇親会では、渓の話、フライフィッシングの話などで大いに盛り上り、ふと、残り少なくなった渓流シーズンを振り返ってみてると、良い渓魚との出会いもあり、まずまずのシーズンを送れたように思うが、只一つ心残りな事があった。それは、昨シーズンも探釣した南アルプスのあの沢、そして、その渓に棲むヤマトイワナの顔を見ていなかった事だった。 解散後は、太田切川で釣りをする予定であったのだが、今の自分を満たすものがここには無い気がして、解散後のその足で南アルプスの上流部、しかも車では辿り着けないエリアへの釣行という強行軍を行う決心をしたのだ。 これから入渓しようとするこの沢には、脇に林道が無いので沢伝いに上流に詰めて行き、帰りも同じ様に川を下って戻るという事になる。したがって、帰りの事も計算に入れてプランを練らなければ、真っ暗の中を戻る羽目になってしまう。熊の出没エリアでもあるので、なおさらリスクは感じていたが、どうにもこの想いはとめる事ができなかった。午後4時、沢の出会いから登って行く。しばらくは釣りにならない流れが続く。15分ほど歩くとそろそろかなと思える流れになってくる。休憩も兼ねて腰を下ろし、目の前の水溜まりのような流れを見つめると、小さな魚影が数尾確認出来た。偏光グラスを通すとイワナの背がよく見えた。紛れも無いヤマトイワナだ。まだ15cmにも満たないサイズだが、この沢の過酷な条件を生き抜いている事に感動する。 もう少し歩き、少し落差のある小さな淵から竿を出す事にした。4ピースロッドを継ぎラインを通す。水量は少ないので、あまり大きなサイズのフライは撰べない。16番のブラックアントで様子を見る事にした。 ヒラキの真ん中に定位していたイワナがいたので、そっと上からフライを落としてみる。すーっと浮き上がりパクっとフライを咥えた。朝釣った太田切C&R区間のイワナ達に比べ、なんとおおらかな事だろうか。たいしたサイズではないのだが、2番ロッドに小気味よい振動が伝わる。キャッチしたのは20cmくらいのヤマトイワナ。この沢で釣れるイワナは、ほぼ全部ヤマトイワナで間違いはない。昨年に比べると、瀬の中でも反応があり飽きない程度にヤマトイワナがフライに飛び出していた。けして魚影は濃いとは思えないが適度に散っている様子。しかし、いずれも20cmに満たないサイズばかりで、8尾ほど釣ったのだがどうもいまいちだった。時間は1時間を経過し、午後5時を回っていた。もう少しサイズが欲しい。自分の中で少し焦りも見え始めていた。 過去の実績では、この付近から良型が出やすいはず。渇水気味の流れの中にもしっかりとした流れの筋が出来きている区間だった。今までもファーストキャストでほとんど勝負が決っていたので、この区間からは更に慎重にキャストしなければならない。西の山に日が隠れ始めていた。そろそろ、イブニングの時間。タイトなループを作り、あまり長くないリーダティペットでピンポイントにフライを置く。フライが着水したと同時に水飛沫が上がる。今までのイワナより数段手応えはよい。石の下に潜ったのを引きずり出しキャッチ。やっとまあまあサイズの23cmヤマトに出会えた。まだ、完全に大人の個体にはなりきれていない感じがあるが、今までの中では一番大きかったので少し嬉しくリリースする魚体が名残惜しかった。まずますのイワナを釣って少し気が楽になったのか、その後もポンポンとテンポ良くヤマトイワナをキャッチ出来たのだが、いずれも22〜20cm位とサイズアップは望めなかった。何かおかしいな? 先ほどから前方に立つ白い煙のようなもの、最初は霧とかの自然現象かと思っていたのだが、近づくにつれ妙に焦げ臭い匂いが風に乗って届いてきた。それは、焚き火の匂いだった。 先行者ありか、しかも野営するのか。この沢で釣り人にであったのは始めてだった。けして人の入らない沢ではないのだが、夕方の時間にこの沢に立つ人はほとんどいない。これからのイブニングタイム、ほのかにも良型のヤマトイワナとの出会いを期待していたのだが、その想いはもろくも崩れていった。しかし、戻って本流筋で釣りをする余裕などなかった。あと10分ほどで午後6時になる。その辺りがタイムリミットだった。良型への期待も薄くなったが、暗くなってきた事も幸いしてか反応は上々だった。しかし、やはり、先行者の影響かネットをはみ出すいいサイズが出てこない。更に焦りが出てくる。この沢が二手に分かれる出会いの淵に来た。昨年もこの淵では良型のヤマトに糸を切られた苦い想い出の場所。ティペットは慎重にチェックしてフライをA沢とB沢の流れが合流する付近にプレゼンテーションした。流れが交わって押し出される先までゆっくりをフライを見送った。流れがぶつかる石の手前でスポっとフライが消えた。よし、食った。合せを入れると激しい水飛沫。いい型だ。淵の中を走った。尺級の重さは感じられないが、2番ロッドをしならせるには十分な力だった。腹と体側の濃いオレンジ色が目に入ってくる。良型のヤマトイワナ特有の色合いだった。あまり暴れさせないように静かに寄せてくる。ネットに納まったのはナイスサイズのヤマトイワナ。 計ってみると26cmだった。腹もパンパンに膨れ上がり、かなりの食い気があった事を示している。そろそろペアリングの時期なので、もう1尾、いいのがいるかもという思いもあり、あまり暴れさせないで寄せてきたつもりだったが、2尾目はさすがに出てこなかった。 |
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