2001.5.19「雪渓残る南アルプスの渓」


南アルプス
1400m付近の流れ、水量、透明度、申し分ない
しかし、雪解け水の影響であろうか、日中も水温9℃と冷たい

釣行データ
日時 2001年5月19日() 10:00〜12:30 13:3017:50
釣り場 南アルプス 某川
天候 晴れ→雨
気温 未計測(肌寒い陽気)
水温 9℃(AM10:00)
タックル FREESTONE 8'3"#3 + MARRYAT MR7A + DT3F Yamame + VARIVAS 5X-12ft
ハッチ ストーン(ミドリカワゲラだと思う)
釣果 イワナ 27
フライ #12 イエローサリーニンフ


朝起きた時、妙に外が明るいのでその瞬間、寝坊した事がわかった。昨夜、ニンフの弾が無い事に気がつき。夜遅くまでタイイングしたのがまずかったか。慌てて車に駆け込むが、周りを通学の小学生達が横切って行く。今日、南アルプスの渓への釣行は私一人、友人が野営地に夜到着という予定。待ち合わせでもしようものなら、大変問題だが、一人なので、まあいっかと楽観的に考え、車を南アルプスの渓へと進める。

途中の林道も河川工事などで年々景色が変わってゆき、少しずつ山が切り開かれて行くようで、なんとも切ない気分になる。既に出遅れという事もあり、林道の各ポイントには、早朝を釣る人達の車が点々と駐車してあった。車で行く事の出来る最終地点に到着。ここで車を置きさらに登る訳だが、夕方まで上流部で釣る為、食料等をザックに詰め込んでの登りとなる。

今日は晴れてはいるが、気温は低め。登りながら感じたヒンヤリと冷たい空気は、南アルプスの渓上流部に来た事の証し。林道脇の日陰斜面には時折雪渓も残り、木々がなぎ倒されている光景を見ると、今年の降雪の多さを物語っているようだった。数キロの登り終え、この辺りで入渓かなと足を止めた。今年初めての南アルプスの渓への登りも案外容易にこなす事が出来た。まだまだ、体力に余裕がある。ここの渓の釣行は日ごろ鈍った体に渇を入れるにはちょうど良い。ザックを降ろすと、汗ばんだ背中に谷を抜ける風が心地よかった。途中の気になったポイントには既に釣り人が入渓していた。これからの釣りに先行者の影響は確実にあると考えた方が良いであろう。

午前10時、標高1400mの地点から入渓する。水の流れは適量であり申し分ない。ただし、水温が低めの9度だった。これは、ドライでは怪しいかもしれない。もう少し陽射しも強まり、気温水温ともに上昇すれば、ドライへの変更もありえるだろうが、今のところは様子見という事でニンフを選択した。

各ポイントを釣りながら、昔の記憶を蘇らせていた。このポイントはでかいヤマトイワナ釣ったなぁとか、あの大岩に倒木があってその下に入られ、必死で淵の中まで入り込んでキャッチしたっけとか、この南アルプスの渓の釣りを飾った自分にとっての名場面がリアルに思い出されてくる。しかし、無反応で流れるインジケータを見送る度に現実に引き戻されてしまうのだ...。

時折風向きが変わる度に変な匂いがするのは、それが獣の死臭である事に気が付いた。よく見れば、河原に幾つもの鹿の死骸を発見する事ができる。今年の大雪は、ここに住む動物達にとっても厳しいものであったのだろう。既に入渓から1時間が経過していたが、アタリは全く無し。魚影すら確認出来なかった。厳しい。今日はボーズかもしれない。少し弱気になってしまう。


いかにも釣れそうと感じる淵が続くポイントから一転し、浅い瀬の連続となる。釣っている最中、ふと気になった右後方の流れ、釣り忘れていたポイントだった。ニンフをダウンで流してみると瀬尻の辺りでゴンゴンと振動が伝わった。底石にでも当っているかな?。再度、流してみると、やはり同じポイントでゴンと当った。間違いないアタリだ!。その直後、バシャっと水飛沫。本日の1尾目は20cmほどのイワナだった。リリースする前に手の温度を水になじませる為、水に手を入れてみると驚くほど冷たく感じた。少しづつドライへの希望は消えて行く。

正午頃、約1時間ぶりのアタリは、22cmヤマトイワナだった。白泡の中にいたのを引きずり出した形となった。久しぶりの再会に嬉しさもこみあげてくる。しかし、こんな場所に隠れている様では、もう完全にドライという選択肢は無いと思った。
この頃から雲行きが怪しくなってきていた。一雨来るかもしれない。入渓時、晴れ間を見せていた空が、まさかこんなに曇り出すとは想像もしなかったので、レインウェアをザックに置いたままであった。ちょうどお昼という事で、休憩も兼ねて入渓点まで戻る事にした。河原にあるちょうど良い石を見つけ、そこでしばらく腰を下ろした。昼食を取っている間にも空は見る見ると暗くなってゆく。

腹ごしらえの後は、先程の続きから釣りを再開。この辺りはちょうど、入渓点でもあり、渓から上がるポイントでもある。実は先ほどまでの区間では、かなりレアな足跡がクッキリと残されていた事を見逃していなかった。しかし、この付近には普通の釣り人ならば絶対に立つであろう立ち位置にかなり古い足跡のみが残されていた。もしかすると、ここから先は手つかずかも知れない。

フライは、入渓時点からミドリカワゲラのハッチが続いていたので、イエローサリーニンフを使っていた。先程と同じ様に瀬を流して行くと、途端に反応が良くなり、20cmほどのイワナがニンフを咥えこむ。次の瀬尻から流れ出しにかけても同じだった。3連発だった。どうやら、先程のポイントから先行者は上がった事に間違いないらしい。この頃から、ポツポツと雨が石を濡らし始める。空を見ると黒い雲が早いスピード移動している。濡れる前にレインウェアを羽織った。そのしばらく後に一気に土砂降りの雨となった。一気に雨足が強まり、痛いほどにレインウェアを叩いている。だが、過去にもこんな状況で爆釣を経験しているので、全く怯む事はなかった。しばらくして、この強い雨は上がってしまう。雲の隙間から晴れ間も覗きだす。山の天気は実に変わりやすいものだ。

気温は更に下がってしまったようで、レインウェアは防寒着代わりとなってしまう。目の前には、大石の脇にある程度の水深のあるヒラキがあった。ポイントに静かに近づき、ニンフとインジケータをそっと落とした。少しのタイムラグの後、インジケータがスコーンと水に吸い込まれた。完全なアタリに気合いを入れてヨシ!っとアワセを入れる。バシャバシャっと激しい水飛沫。おお、ナイスサイズ!、石の下には潜られないようにロッドでプレッシャーをかけてコントロールする。イワナも下流に走る。流れに入りロッドが更に絞り込まれた。イワナとのやり取りを楽しんだ。ネットでキャッチしたのは、ナイスサイズのヤマトイワナ26cmだった。この位のサイズが釣れると充実感もある。ストマックも取らせてもらうと、やはり、ミドリカワゲラのニンフとアダルトがかなり出てきた。フライの選択にも自信が出た。

水温はあまり高くないにも関わらず、活性は高い様子。その後も18〜20cm程のイワナが連発した。このまま爆釣モードに突入か?、晴れ間を見せた空がにわかに暗くなる。また強く雨が降り出した。雷も遠くで鳴っている。ちょっとヤバイかとも思ったが、この状況、止めるに止められないのだ。とにかく釣れる、釣れる。型は小さいがここぞと思えるポイントではほとんどイワナをキャッチしていた。フライ、天候、魚の活性。すべてがプラスの条件となっていたようだ。
しばらくこんな状況でいると、なんとなく4拍子のリズムで瀬を叩いて行くと不思議とイワナが釣れる事に気がついた。1でキャスト。2、3でドリフト。4でアワセ。はっきり言ってしまうと、インジケータを見なくても釣れていた。なんか、自分のフライに吸い寄せられる様にイワナが吸い付いてくる様だった。イージーこのうえない釣りだった。ただし、4拍子のリズムは、流速によってテンポを微妙に変える必要はあったが。

雨は降ったり止んだりを繰り返していた。その度に気温も下がって行く。肌寒さを感じる程だった。手も冷たく手袋が欲しくなった。しかし、イワナとのコンタクトは絶え間なく続き、気がつけば、20尾を楽に越え、25尾が目前であった。約1Kほど釣り登ったであろうか。これだけ釣れているのに、良型がなぜか出ないのは少し解せないのはある。皆、20cm弱で揃っていた。まだ瀬には大物が着いていないのか?、逆にいかにもという淵では全く反応が無かったのである。良型のイワナは何処へ。贅沢ではあるが、少し不満も持ち始めていた。

既に午後4時を回っていた。雨も上がり、もう雨が降りそうな気配はなかった。ある区間からパタっとアタリが止まってしまう。あれほど見た魚影も全く見なくなってしまう。おかしい?、この先、先行者が釣った後なのか?。1時間半ほど釣ったが結局3尾のイワナをキャッチしたのみ。取水堰堤が見えたので、その先の流れに期待して上がる事にした。

しかし、いざ登って見てみると、ガンガンの流れ、おそらく雪解け水が一気に流れているのであろう。これは、ちょっと釣りにならないかも知れない。少し竿を出そうかと思ったが、諦めて戻ることにした。これから夕方の一番良い時間というのにポイント移動か。時間配分を誤った気がしてならない。
林道を歩いていると、目前に道が無くなった。それは、斜面がガサっと崩れ落ち、林道を塞いでいるのだ。通れるだろうか?、もしかして、川に降りなければならないのか?、下を見て思った。あっ、この辺りから魚がパッタリ釣れなくなったのだ。ここより更に上流を目指す釣り人が、この土砂崩れで、諦めこのポイントから釣り始める。その頻度は、おそらく他のポイントよりも多い事であろう。

思った以上に長い距離を釣り登っていたらしい。山の陰に日が入り出すと、とたんに明るさを失いだしてゆく。もう、イブニングの釣りが出来る余裕はなかった。ヘッドランプの明かりを頼りに長い長い下りを一人歩く事となる。まあ、結構釣れたので、気分は悪くなかった。早く戻ってビールでも飲みたい、そう思うと足早になる。車止めの付近に到着した頃には、既に真っ暗になっていた。駐車場には、私の車ともう1台のみ。下っている途中でテントを目撃したので、彼らがきっと車の主に違いない。私も今晩はこの付近の空き地にテントを張り、キャンプをする事にしていた。設営準備をしていると友人がの車が到着。仕事を終え駆けつけてくれた。食事の準備をしている間に1本ヒールを飲む。もう少し気温が高いと最高なのだが、十分に喉は乾いていたので、その喉こしは格別なモノである。谷間から見る夜空は実に狭いのだが、星はくっきりと輝いている。きっと明日は晴れるだろう。明日はなんとしてもドライで釣りたいな....。


翌日(5/20)の釣行記へ続く


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