2000.7.2「見えない影」


梅雨の合間の久々の晴れた週末を南アルプスの渓で過ごす

釣行データ
日時 2000年7月2日(日) 6:30〜10:20
釣り場 南アルプス 某川
天候 晴れ
気温 日中 夏の陽気
水温 早朝 11℃
タックル CFF RightStaff 8'4 #2(4P) + Koh-I-Noor #0 + DT2F + VARIVAS 5X-12ft
ハッチ なし
釣果 イワナ 1尾
フライ #13 ブラックハンピー・パラシュート


急遽、日曜日の午前中が空いた。そうなると、久々に南アルプスの渓に登ってみたくなり、前日、簡単な準備をし始めた。その時、気が付いた。車のガソリンメーターが、限りなくEに近づいていた事を ...。
さあ、困った。24時間営業しているガソリンスタンドは、隣町にしかない。こういう時、田舎暮らしは実に不弁だ。しかたない、明日の朝は1時間早く起きなくてはならない。

早朝と言うには暗すぎる時間、向う渓とは全く逆方向の隣町へ車を走らせる。まだ寝ている時間だと言うのに。道が空いている事もあり、ほぼ予定通り1時間で戻ってきた。途中、コンビニにも寄って朝食を買ってきた。(実は、コンビニも無いので、いつも釣行前日に食料等を買い出ししておくのだ ^^;)

林道に入りかけた頃には、空は明るくなり始めていた。梅雨に入り、この辺りもかなり雨が降り、林道が所々荒れている。川は、水が少し多いが濁りはない。釣りをする条件は問題ない。車で行けるところまで行き着くと、後は登りが待っている。車は既に3台停まっていたが、車のフロントガラスに付いた露が、長時間の放置を意味している。おそらく、かなり上流に入っている事は間違いない。私は、そこまで奥には入るつもりはなかったので、好都合だった。

約数キロの登りも難なくこなせた。まだ、体力にも余裕がある。毎年この渓への1回目の釣行は、自分の体力がどれくらいかを知るバロメーターになっている。汗をかいたので、着替えのTシャツに着替える。まだ、早朝6時半。さすがに肌寒い。早朝の渓の空気は独特の香りがする。深く吸い込むだけで、不思議とリラックスしてくる。
ライトスタッフ2番を4本継ぎ準備。水温を計ってみると、11度。少し低い。朝のうちはドライに出ないかも知れない。2番ロッドにニンフという選択肢はない。ウェイテッドニンフとインジケータの負荷を背負うには、少し弱すぎるからだ。(このロッドで試した事はないが、フリーストーンの2番ではキツかった)

パイロットフライには、16番のアントを付け、釣り登りを開始。少し開けた河原が18ftのロングティペットリーダーの釣りを容易にさせてくれる。ロッド、リーダーのバランスが今日は絶妙で、気持ち良くポイントにスバンとフライを入れる事が出来る。先日、自分のWEBページの掲示板で繰り広げられた、キャスティングに関する熱い書き込みを思いだし、キャスティングを自分なりに見つめ直したというのもある。
奇麗にターンオーバーしたフライは、自分の目にはナチュラルに流れているように見えた。しかし、出ない。幾つも幾つもここはと思えるポイントを虚しくフライが流れて行くのを見送った。1時間して、やっとイワナが浮き上がってくるのが見えた。しかし、出てきてもフッキングには至らない。ここのところアマゴばかり釣っていたので、アワセが少し早いのかなと、あえて、遅らせるというか、向こうアワセ気味にもしてみたが、乗らない状態が幾つか続いた。(魚が出る回数自体も極めて少なかったが)

まだ、魚の活性が上がっていないのかと、山の影から日差しが差し込んでくる午前8時半頃から、本格的に釣りを再開する。少し流れも強かったので、フライはブラックハンピーにする。この時期の定番フライ。よく浮くこのフライは視認性も良く、常にフライボックスに入っている1つだ。
読み通り、イワナの反応は少しは良くなってきたが、フッキングしないという状況は変わらなかった。何か、おかしい。河原の砂の上に付いた足跡が、気にはなっていたが、前日の足跡であろうと思って釣りをしていた。しかし、魚の出方が隠れ家から出てくるように感じた。本来、捕食ポイントとされるヒラキや石の手前には付いていなかったのだ。これは、活性の低さではなく、プレッシャーかも知れない。見えない先行者の影に疑心暗鬼しながら、釣り登った。

強い流れと流れの間のスポット。ロングティペットの効果が顕著に出るポイントだ。流れに漂うブラックハンピーがスーっと消えた。そのまま流れに落ち、グングンと潜っている様子。そこから引き出し、下流に下らせてネットですくった。今日、待望の1匹。もう、日差しは、かなり上から射し込んでいる頃だった。

ヤマトイワナだと思ったが、背にヤマトイワナとニッコウイワナの特色が見事に混ざっていた。これほど、半々にそれぞれの特徴が出ている混血な魚体を見たのは始めてであった。大抵、どちらかの影響が色濃く出るものである。

リリースし、せめて、もう数匹は釣りたいなーと、黙々と渓を釣り登る。しかし、イワナは出ては来るのだが、乗らない状況は続いた。ふと前方を見ると人影があった。あちゃー、フライマンだ。おそらく途中の入渓点から入って来たのだ。自分は、このフライマンの後をずっと追いかけていたのだった。まだ、少し時間があったが、もう、上がる事にした。

今日は惨敗だ。先行者がいたからという事が、大きな理由ではあるが、イワナを引き出すところまでは来てるので、やはり、微妙なドラックが釣果を左右したのかも知れない。自分の腕の未熟さと、こんな山奥で見事に同じポイントを釣ってしまう間の悪さが少し腹立たしかった。
山を下る時の日差しといったら、夏を感じさせるには充分な強さだ。早朝の爽快な足取りとは対照的な、重苦しい足取りが、今日の釣りを物語っているようだった。


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