暖かい風が里に吹き出した四月、私の心も南アルプスの渓へと運んでくれる。ちょうど午前中が空いた平日のこの日、私は南アルプスの山奥にある砂防堰堤に足を運んでみた。ちょうど2週間ほど前に寄った際は、まだ雪も残り水面は氷におおわれ、まだ春は当分先のように思われた。しかし、このところの陽気は春のおとずれを充分感じさせるものだった。
午前7時、目的の砂防堰堤に着く。既に先着さんがいるらしい。まあ、それなにり人気あるポイントなので、しかたない。2週間前とはすっかり様子が変わり、雪も水面の氷も解け、この山奥も春の準備に入ったようだ。さっと支度し堰堤のプールのバックウォーターへと降りる。餌釣りの人が流れ込みに陣取っているので、しかたなく、少し離れたところからやってみる事にする。
良く見ると数匹の大型のイワナが回遊している。ここからでも充分チャンスはある。先日、河口湖で使用したタックルをそのまま持ってきている。ここの堰堤の規模からしても8番はけっしてオーバースペックではない。ラインはタイプ2のシューティングヘッドにして、フライは杉坂氏のフラッシュバックニンフを改良したオリーブカラーのマラブーパターン。ここのポイントで最も実績があるフライだ。水の色とこのフライの色合いがマッチするのか、いろいろなフライを使ってみたが、やはりこのフライに落ち着く。ただし、基本は細身を意識する事はとても重要だと感じている。
フライを水に馴染ませるプレキャストの後の第1投。少し土砂で埋まり気持ち浅く感じた事とタイプ2のラインなので、カウントダウンも10ほど数えたのち、リトリーブを開始した。 フライが落ち葉の堆積している辺りを通過した時、リトリーブする左手がググっと重くなった。根掛かり?とも思えたが、無意識にも左手が鋭くアワセを入れていた。ギラっと光った。生命感がロッドを通し感じられる。1発目からのヒットだった。河口湖の元気なニジマスを相手にしているタックルなので、余裕で寄せてくる事が出来る。近くまで来ると結構でかい事に気づいた。途端に緊張し慎重になる。極力水面をバシャバシャさせないように静かに寄せてくる。ヒットした直後と取りこみの最後の詰めが一番バレ易いものだ。慎重に、慎重に。イワナは、最後の抵抗をする。8番の竿もそれなりに曲がる。しかし、3Xのティペットなので、強度的には問題なし。最後にグッと寄せ、そして、無事にランディング成功。うわっ、でかい!。間違い無く尺イワナだ!。ネットから出してみる。体高もあるしヒレもビンビンに尖った美しい魚体。ここのポイントならではの1尾。
メジャーを充てる。33cmの尺岩魚だった。(^^)/
写真に納め水に戻る。とても名残惜しいが、元気に戻る姿を見ると気分も良い。
もう帰ってもいいかな?そんな気分だったが、時間もあるし、またもう1発来るかもしれない。気が着くと黙々とキャスト、リトリーブをしている自分がいた。俺は、やはり釣り馬鹿だ。(^^;
しかし、ここから辛い時間が過ぎる事になる。私も餌釣りの人も全くアタリがない。まあ、ここでの釣りはそんなに頻繁にアタリがあるものではなく、大変忍耐のいる釣りである事を思い出した。今回は、たまたま1発目で釣れてしまったから大変幸運な方である。
もう、かれこれ1時間半は、何も変化がなかった。山の影から光が差しこみ、水面にはおびただしいユスリカが乱舞している。しかし、ライズは無く水面は静まり返っている。ふと見ると、流れ込みにいた餌釣りの人の竿が曲がっていた。結構でかそうだ。流れに入られてしまった、ヤバイぞと思ったら、プツと切れてしまった。残念。とても悔しそうだ。これを見ていると、やはり、魚を充分コントロール出来るくらいの余裕のあるタックルでないと、貴重なヒットを無にしてしまう事があると痛感する。8番やDHといったヘビーなタックルの選択もここでは間違い無いものであると感じる。
午前9時半を回り餌釣りの人も去ってしまう。流れ込みに移動し、2本流れ込む筋の真中に立つ。数投目にかなり遠くでドズンというアタリ。間違い無くイワナだ。テンションが抜けないようにグイグイと寄せる。しかし、だいぶ寄ってくると強い抵抗を示す。これは結構強いぞ。2本の流れに挟まれているので、その流れに入られると、8番ロッドとはいえ厄介だ。充分コントロールして寄せなければ。もう一つの不安は、明るくなってきたこともあり、5Xにティペットを落としていた事。 止水なら間違い無く取れるだろうが、流れのあるこの場所ではどうだろうか?。しかし凄い引きだ。このポイントでこんな引きのイワナに出会ったのは始めて。なんとか水面に上がってきた。でかい!。
丸々とした魚体に緊張感は更に高まる。水面での抵抗も激しい。こうなると、あまり時間をかけるとバレそうだ。手元まで来るがなかなかネットまで寄せられない。なかなかの強者。最後の駆け引きだ。頭を水面に出し空気を吸わせるとだいぶおとなしくなった。そして、無事にランディング。ネットの中でビトンビトン暴れるでかい塊を水から抜く。
明らかに先ほど釣ったイワナよりでかい。足がガタガタ震えてきた。
まずは写真に収めよう。デジカメの最高画質モードに切り替え何枚か写真を撮った。手が震えてしまい、うまく撮れただろうか?
そして、メジャーを充てて見る。間違いなく自己記録は上回っていることに間違いはない。うわっ、でかい。36cmの尺岩魚だった。(^^)/
もう、文句なかった。一人で悦に入っていると漁協の監視員の人が下りてきた。先日も松本のFFMがここでやっていたらしい。目下、私のライバルと勝手に思い込んでいるので彼らの存在の話を聞いてしまうと、またまた燃えてしまう。残り1時間、もう1本釣ってやるぜ!。
日も高くなり厳しくはなって行く。私の経験では、このポイントはマズメ勝負と思っているのでこれからの時間は、まさに忍耐な釣りであろう。ポカポカ陽気で暖かく、川でのドライフライの釣りにも良さそうな気候になってきた。
今日のタイムリミットが迫ってきた。半分諦めかけた時、かなり近くでゴツンと来た。あまりに近かったので、アワセを入れたかわからぬまま、ロッドを立ててしまう。ググっとラインを持って行かれる。これも強い。フッキングが怪しいのでやり取りはある程度やさしくかつ迅速に対応しなければならない。水面に浮き上がってきた。これもいい型だ。手元まで来ているのに寄らない。水面でクネクネと暴れている。マズイ、バレそうな感じ。自ら水に入り強引にネットですくった。これもでかい!。
ネットに横たえる。これも先程のに匹敵するほどの大きさ。メジャーを充ててみる。
35cmの尺岩魚だった。(^^)/
尺イワナの3連発、自分でも信じられない事だった。
そして、タイムリミット。先日の河口湖爆釣といい、今日の尺3連発といい、なんか最近ツキ過ぎだ。そのうち竿でも折れてしまうのではないだろうか?ちょっと不安になってきた。でも、やっぱ凄く嬉しい!!。
これは、当分ここに通ってしまいそうだ。
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